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2002 研究概要

マイクロケルビン温度領域におよぶ広い低温環境下で, 凝縮系がしめす顕著な 量子現象の研究を行う。本年度は, 昨年度につづき超低温実験設備の整備を行 うとともに, 超流動ヘリウム3薄膜の流動特性, 超流動ヘリウム表面近傍に束 縛された2次元電子系, 2次元イオンプール, 原子状水素など低温量子凝縮物 質の表面界面で発現する量子現象, 半導体ヘテロ界面に形成される2次元電子 系やそれに関連したメゾスコピック系, カーボンナノチューブなどナノサイエ ンスに深く関連したテーマについて研究を進めた。

  1. 超低温冷凍装置の整備(池上、河野)

    核断熱消磁の機構を備えマイクロケルビン領域の実験を可能とする冷凍機を製 作するために, 大型希釈冷凍機を購入しそれに付随した架台, 配管などを整備 した。さらに断熱消磁に使用する銅核ステージの製作をスタートした。

  2. 回転希釈冷凍機の製作(椋田、河野)

    科学研究費補助金「特別推進研究」の一貫として鉛直軸を中心とする回転の自 由度を有した希釈冷凍機を整備すべく, そのためのターンテーブルなどの設置 を行った。量子渦のある超流動ヘリウム表面上の電子結晶の移動度などの測定 を行う予定である。

  3. 超流動ヘリウム3薄膜の流動性に関する研究(斎藤, 椋田, 池上, 河野)

    インターディジタル櫛形電極をもちいて超流動ヘリウム3薄膜の膜厚を制御し てその超流動性の研究を行った。膜厚と超流動オンセット温度の関係を広い膜 厚範囲で観測し, これまでにある理論的予言とは整合しない異常な振る舞いが 0.5から1ミクロンの膜厚領域で存在することを見いだした。この手法により流 量を制御した実験が可能となり, 超流動ヘリウム3フィルムフローの動的な性 質を研究する端緒を開いた。

  4. ヘリウム表面上の原子状水素(椎野、河野)

    ヘリウム表面上2次元電子系, 表面下に形成されるイオンプールとヘリウム表 面上に弱く吸着した原子状水素の間に起きる化学反応とその生成物の特定を目 指して, 実験の準備を進めている。

  5. 超流動ヘリウム3表面下に形成されるイオンプールを用いた超流動ヘリウ ム3秩序変数の境界効果の研究(川崎、椎野、池上、河野)

    p波超流動に対する境界のおよぼす効果について, 自由表面直下に蓄積される イオンをプローブとした超低温領域における実験を行っているが, さらに系統 的なデータを得るために新しい実験セルを製作中である。なお, 本研究は東京 大学物性研究所との共同研究契約に基づいて実施している。

  6. ヘリウム表面上の単電子制御と量子ビットの実現(椋田、福田、河野)

    ヘリウム膜上に単一の電子状態を制御しまた状態を検出するという野心的な研 究を行っている。希釈冷凍機の整備をほぼ終了し10 mKまでの測定が可能となっ た。今後, ヘリウム膜上の特定の位置に電子を自由に配置し, それを操るため の技術を開発する。特に, 130GHzのマイクロ波を冷凍機に導入し, ヘリウム表 面上電子の励起状態への遷移の観測を行う。

  7. ヘテロ接合2次元電子系およびメゾスコピック系の電子物性(川島、後藤、塚 越、河野)

    半導体ヘテロ接合の形成される縮退2次元電子系, それを加工して得られるメ ゾスコピックデバイスのしめす伝導現象を, 特にヘリウム表面上の電子やイオ ンという外部電荷が作り出す特殊な外部電場環境のもとで観測すべく, 基盤の ナノ加工など様々な試行を行っている。

  8. 超伝導と強磁性の競合(後藤)

    アルミニウムとコバルトの積層膜を対象に,核磁気共鳴の手法を用いて超伝導 と強磁性という競合関係にある金属相における近接効果について研究し, 磁化 の減少という強磁性の抑制効果があることを明らかにした。

  9. カーボンナノチューブの量子物性(塚越)

    カーボンナノチューブの中空部分に磁性や超伝導をしめす金属原子を導入する など, ナノチューブの持つ様々な可能性に着目し, それらをナノ加工すること で新しい量子物性の発現を目指した研究を行っている。

科学研究費補助金

特別推進研究

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