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2003 研究概要

マイクロケルビン温度領域を含む広い低温環境下において、凝縮系がしめす顕 著な量子現象の研究を行う。超低温実験設備の整備を継続して進め、超低温実 験研究の基盤は整いつつある。超低温実験基盤整備と並行して超流動ヘリウム 表面近傍に束縛した2次元電子系、2次元イオンプール、原子状水素、超流動 ヘリウム3フィルムなど低温量子凝縮物質の表面界面で発現する量子現象に関 する研究を進めた。また、カーボンナノチューブ,半導体ヘテロ界面に形成さ れる2次元電子系を加工してつくるメゾスコピック系、ナノギャプ電極の作成 など,ナノサイエンスに深く関連したテーマについて研究を進めた。

  1. 超低温冷凍装置の整備(池上、河野)

    マイクロケルビン温度領域の実験を行うための核断熱消磁冷凍装置がほぼ完成 し試運転と調整を行うばかりとなった。この冷凍機の完成によって超流動ヘリ ウム3表面の研究が可能となる。

  2. 回転希釈冷凍機の製作(高橋、河野)

    科学研究費補助金「特別推進研究」のテーマとして鉛直軸を中心とする回転の 自由度を有した冷凍機整備を行い,ターンテーブルの改良および希釈冷凍機の 製作およびターンテーブルへの設置を完了し,回転ジョイントを介した真空排 気ラインの設置を行う段階にある。今後,回転下の冷凍機運転などの試験を進 め,量子渦のある超流動ヘリウム表面上の電子結晶の移動度などの測定を行う。

  3. ヘリウム表面上の原子状水素(椎野、河野)

    ヘリウム表面上2次元電子系、表面下に形成されるイオンプールとヘリウム表 面上に弱く吸着した原子状水素の間に起きる化学反応とその生成物の特定を目 指し、ヘリウム表面下の電子バブルとヘリウム表面に吸着した水素原子の反応 と思われる現象を発見した。

  4. 超流動ヘリウム3表面下に形成されるイオンプールを用いた超流動ヘリウム3秩 序変数の境界効果の研究(川崎、椎野、池上、河野)

    p波超流動に対する境界のおよぼす効果について、自由表面直下に蓄積される イオンの伝導現象を超低温領域において系統的に測定するべく実験を進めてい る。本研究は東京大学物性研究所との共同研究契約に基づいて実施している。

  5. ヘリウム表面上の単電子制御と量子ビットの実現(椋田、福田、秋元,河野)

    ヘリウム膜上に単一の電子状態を制御しまた状態を検出するという研究を行っ ている。130GHzのマイクロはを冷凍機に導入し、ヘリウム表面上電子の励起状 態への遷移を観測するべく実験を進めている。

  6. ナノギャップ電極を用いたヘリウム薄膜上2次元電子系の伝導現象の研究(川 島,河野)

    シャドウ上着法を用いて,20nm程度のギャップを持つアルミ電極により,その 上に吸着した100nm程度のヘリウム薄膜上に蓄積された2次元電子系の伝導度 測定にはじめて成功した。

  7. ヘテロ接合2次元電子系およびメゾスコピック系の電子物性(後藤、塚越、河 野)

    半導体ヘテロ接合の形成される縮退2次元電子系、それを加工して得られるメ ゾスコピックデバイスのしめす伝導現象を研究するために,ABリング作成し, 高周波電磁波照射と磁気抵抗の関係について詳細な測定を行った。

  8. メカニカル ブレーク ジャンクション法を用いた量子化伝導の測定(辻井,伊 藤,河野)

    金属細線を高真空,低温環境中で機械的に切断し,その間隔を精密に制御する ことで,伝導度の量子化現象を観察技術開発を進めている。希釈冷凍機温度で の測定を目指して実験を進めている。

  9. ナノギャップ電極の作成技術開発と単分子伝導現象の研究(川村,重藤, Kazumov, 塚越,河野)

    1個の分子に電極を取り付け,その量子伝導現象を観測するために,ナノギャッ プ電極を作成する開発研究を行っている。収束イオンビームを用いて,作成し た電極間に金属内包フラレンを捕捉して伝導現象の測定が可能となった。

  10. カーボンナノチューブの量子物性(塚越)

    カーボンナノチューブの中空部分に磁性や超伝導をしめす金属原子を導入する など、ナノチューブの持つ様々な可能性に着目し、それらをナノ加工すること で新しい量子物性の発現を目指した研究を行っている。

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