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2007 研究概要

マイクロケルビン温度領域を含む広い低温環境下において , 凝縮系がしめす 顕著な量子現象の研究を行う。超低温実験設備を用いて, 超流動ヘリウム3の 表面現象、回転希釈冷凍機を用いた回転超流動ヘリウムの物性 , 超流動ヘリ ウム表面近傍に束縛した2次元電子系の表面準位間の量子遷移にともなうミリ 波吸収に関連した研究を行った。 GaAs半導体ヘテロ界面に形成される2次元 電子系から ECRエッチング装置を用いて縦型量子ドットを製作し , メゾスコ ピック系の量子情報処理への応用を視野にいれた研究を行った。さらに , ナ ノギャプ電極を用いてヘリウム表面上2次元電子系の単一電子制御を目指した 実験など,ナノサイエンスに深く関連したテーマについて研究を進めた。

1. 超低温量子凝縮系界面物性の研究

  1. ヘリウム表面電子系のミリ波吸収の研究(Konstantinov, Monarkha, 秋元, 河野)

    ヘリウム表面上に形成される表面電子状態のサブバンド間ミリ波吸収と2次元 電子系の伝導度測定を組み合わせて遷移に伴うミリ波吸収と緩和過程の解明を 行った。2次元電子系の面内伝導度は電子温度に敏感である。これによってミ リ波の照射強度と電子温度の関係を求め,特徴的なホットエレクトロン現象を 発見した。この現象に理論的な説明を与えるためのモデルを提唱し実験結果の 説明に成功した。リプロン散乱が主要な役割を演じる低温領域へと測定を拡張 し,非線形ダイナミクスの研究へと展開を図った。

  2. 回転超流動ヘリウムの研究(高橋(大), 池上, 河野)

    鉛直軸を中心とする回転の自由度を有する冷凍機を用いて , 連続した回転下 にある超流動ヘリウム表面上に関する実験をおこなった。今年度は自由表面下 にイオンを蓄積し,その移動度の測定を開始した。電界放射によるイオンの発 生にカーボンナノチューブを用い、イオンの信号を確認することができた。こ れとは別に回転下の表面波の測定も行い、慣性波動によるものと推測される共 鳴周波数の回転数依存性を発見した。今後系統的な測定を行う。

  3. 2次元超流動薄膜の研究(斎藤, 池上, 河野)

    超流動ヘリウム3薄膜の流動特性の解明を目的として、櫛形構造をもつメゾス コピック電極を用いたヘリウム薄膜駆動の研究を進めた。超流動ヘリウム3薄 膜の厚さを制御して、常流動・超流動転移を起こさせることができる。異方的 な超流動における自由表面および固体との界面の境界効果について知見を広め ることが期待される。ヘリウム3に磁場を加えることで,超流動状態間の異な る相の間の転移について研究できる試料容器を製作し、冷凍機に設置する準備 を進めた。狭い領域に閉じ込められた液体の流体力学はナノフルイディクスと して,新しい学問領域としての発展が期待される。

  4. ヘリウム薄膜および1次元ヘリウムチャンネル上の低次元電子系の研究 (Marrache-Kikuchi, Rees, 秋元, 池上, 河野)

    ナノギャップを持つ電極やミクロンサイズの幅を持つ溝構造により,吸着ヘリ ウム膜やヘリウムチャンネルの上に捕獲した電子系の伝導度測定を進めた。5〜 20ミクロンの単一チャネル上で擬1次元電子系の伝導度測定を行い,電子の 固化相転移における有限サイズ効果を確認した。単一電子制御に向けた各種電 極構造の開発や、単一電子検出に必要な基礎技術の開発を進めている。

2. ナノ構造の低温量子輸送の研究

  1. 半導体量子ドットの磁場中低温電気伝導の研究( Huang, 高橋(宏), 高橋(諒), Schnyder, 秋元, 大野, 河野)

    GaAs半導体をベースとして、 2分割したゲート構造をもつ縦型 2重量子ドット を作成し、磁場中量子輸送現象に関する測定を行った。クーロンブロッケード 領域の強磁場中トンネル分光によって人工原子エネルギーレベルのゼーマン分 裂を観測し,量子ドット中電子の g因子に関する情報を得ることができた。こ の輸送特性の全貌を理解するために理論モデルとの比較を行うなどの解析を進 めている。

  2. 半導体量子ドットの光伝導の研究(高橋(宏), 高橋(諒), 大野, 河野)

    縦型量子ドットと光の相互作用について解明するために,光を照射したときの 輸送特性の変化について測定を行った。量子ドットに光を照射するとその波長 によって,電子・正孔対を生成するために十分なエネルギーを有する場合には、 電子・正孔対を量子ドット内に生成する。この対のうち電子はドレイン電極に 逃げることができるが,正孔はドット内に捕獲されて,実効的にゲート電圧を 正にバイアスしたのと同じ効果があることが分かった。蓄積される正孔の数は 照射光強度と時間によって決まるが,十分に弱い光を照射すると単一フォトン による電子・正孔対の生成によると考えられる量子ドット輸送特性の不連続な 変化を観測することに成功した。また、やや波長の長い光を照射することでドッ ト内に捕獲された正孔を強制的に放出させることができることが分かった。こ れらの発見によって,光による単一電子のスピン制御に一歩近づいた。

  3. 単一微粒子の電気伝導現象の研究(伊藤, 秋元, 大野, 河野)

    単一微粒子に電極を取り付け, その量子伝導現象を観測するための試料作製を おこなった。エレクトロマイグレーション法によってナノギャップ電極を作製 し, 電極間に10ナノメートル程度の半導体微粒子を捕捉して伝導現象の測定 を行い,微粒子を介した伝導に特有な帯電効果によると考えられる電流電圧特 性の観測に成功した。

  4. 有機 TFTの開発(塚越)

    ナノ加工技術を駆使して新しい有機 TFTの開発と特性の改良を行った。

  5. ナノスケールテンプレートを用いた生体関連物質の秩序化の研究(渡邊, 河野)

    ナノ加工によるテンプレート基板を用いて、蛋白質などの生体関連物質を整列 させる秩序化の開発研究を行った。

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