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2009 研究概要

マイクロケルビン温度領域を含む広い低温環境下において , 凝縮系がしめす 顕著な量子現象の研究を行う。超低温実験設備を用いて , 超流動ヘリウム3 の表面・界面効果、回転超流動ヘリウムの物性 , 超流動ヘリウム表面に束縛 した電子系、イオンプールの非線形伝導現象、プラズマ共鳴、ミリ波吸収、量 子渦生成などの研究を行った。 GaAs半導体をベースとした縦型 2重量子ドッ トを製作し、電子スピン・核スピンに依存した量子輸送現象の量子情報処理へ の応用を視野にいれた研究を行った。さらに, 毛細管凝縮によるヘリウムチャ ネルや吸着ヘリウム膜を用いて単一電子制御を目指した実験など,ナノサイエ ンスに関連したテーマについて研究を進めた。

1. 超低温量子凝縮系界面物性の研究

  1. ヘリウム表面電子系のミリ波吸収の研究(Konstantinov, Dykman, Monarkha, 河野)

    ヘリウム表面上に形成される表面電子状態のサブバンド間ミリ波吸収と2次元 電子系の伝導度測定を組み合わせたユニークな測定法を用いた研究を行った。 それによって、ミリ波吸収によるホットエレクトロン効果、電子間相互作用に 起因する共鳴周波数シフト、さらには共鳴曲線の顕著な歪と周波数挿引方向に よるヒステリシスの観測など、強い非線形現象の実験的検証と理論的説明に関 して研究のとりまとめを行った。ヘリウム表面に垂直な磁場を印加して、2次 元電子状態密度のランダウ量子化の影響について実験を行い、新奇な磁気振動 効果を発見した。

  2. 回転ヘリウム表面下イオンプールの非線形伝導現象の研究(高橋(大), 池上, 河野)

    自由表面下に正イオン(Snow ball)を蓄積し,イオン速度の電場依存性の測定 を静止下および回転下で行った。その結果、イオン速度がある臨界値を越える と急激に減少することを発見した。この状態の変化は、イオンの周りの流れ場 が非回転な流れから量子渦を伴う流れへと転移をすることに対応していると考 えられる。臨界速度の特徴的な温度依存性は、この転移が巨視的量子トンネル に伴うものであることを示唆し、巨視的量子トンネル確率が量子摩擦によって 抑制されることに起因する可能性が示された。プラズマ共鳴の測定では、共鳴 周波数および半値幅が量子渦密度に比例して増大することが観測された。

  3. 2次元超流動ヘリウム3薄膜の研究(斎藤 , 池上, 河野)

    超流動ヘリウム3薄膜の流動特性の解明を目的として、櫛形構造をもつナノ電 極を用いたヘリウム薄膜駆動の研究を行った。超流動ヘリウム3薄膜の厚さを 制御して、常流動・超流動転移を起こさせることができる。膜厚を薄くするこ とによる超流動転移温度の抑制が、理論的予測よりも強いことを確定した。磁 場下での測定でも同様な結果が得られた。

  4. 超流動ヘリウム表面下イオンプールの伝導現象の研究(松本, 池上, 河野)

    超流動ヘリウム 3自由表面に存在すると考えられている表面状態の検出を目指 して、表面下に蓄えたイオンの伝導度測定の準備実験を行った。

  5. ヘリウム薄膜および1次元ヘリウムチャンネル上の低次元電子系の研究(黒田 , Hoefer, Rees, 秋元, 池上, 鈴木, 渡邊, Leiderer,河野)

    ナノギャップを持つ電極や毛細管凝縮したミクロンサイズの幅を持つ溝構造に より,ヘリウムチャンネルの上に捕獲した電子系の伝導度測定を行った。電子 の固化相転移における有限サイズ効果について解析を行った。スプリットゲー ト型素子をナノ加工技術により作成し、量子ポイントコンタクト素子に類似す る伝導現象を、ヘリウム表面上電子で測定することが可能になった。縮退 2次 元電子系の実現を目標に、厚さ 30nm程度のヘリウム吸着膜上の電子伝導現象 について研究を行っている。試料上の絶縁体部分への帯電などまだ十分に制御 できない要因があり、それらを取り除く試みとして、エネルギー選別可能は低 温電子源の開発などを行った。

2.ナノ構造の低温量子輸送の研究

  1. 半導体 2重量子ドット素子の共鳴トンネル効果の研究(Sun, Huang, 秋元, 大野, Lin, 河野)

    電子スピン g因子が互いに異なる GaAsドットと InGaAsドットを直列に結合さ せた系において、低温強磁場中の共鳴トンネル効果に関する研究を引き続き行っ た。各ドットのゼーマン分裂幅が異なる場合に観測されるスピンボトルネック 効果について試料依存性を評価した。

  2. 半導体量子ドットの核スピン効果の研究(高橋(諒), 大野, 河野)

    縦型量子ドットのパウリスピンブロッケードを利用した核スピン制御の引き続 き研究を行った。今年度は従来観測されていた ”上向き“核スピン分極と昨 年度新たに観測された ”下向き “核スピン分極を組み合わせ、任意の方向へ の偏極を素子に印加する電圧のみで制御することに成功した。これより、電気 的操作でドット内の核スピンを任意の方向に偏極させることが可能になり、将 来の核スピン量子メモリ応用へ一歩近づいた。

  3. 半導体量子ドット中の光学フォノン制御の研究(大野, 河野)

    縦型2重量子ドットのドット間エネルギー差を素子材料であるGaAsの光学フォ ノンエネルギーに一致させることにより、規則的な単一光学フォノン生成を伴 う単一電子輸送を観測した。この研究はナノスケールの固体素子における光学 フォノンをナンバーステートで制御することを目指す。

  4. GaAs半導体 2次元電子系の量子ホール効果の崩壊現象と核スピン偏極の研究(川村, Gottwald, 河野)

    GaAs/AlGaAs半導体ヘテロ構造界面に形成される2次元電子系を用いて、量子 ホール効果崩壊現象にともなう動的核スピン偏極とそれを用いた核磁気共鳴の 研究をおこなった。この実験方法を用いると界面に存在する核スピンからの核 磁気共鳴信号を局所的に検出できる。核磁気共鳴のナイトシフト、核スピンの エネルギー緩和時間、位相緩和時間の測定から、量子ホール状態における電子 スピン偏極に空間的な不均一が生じていることを見出した。

  5. 半導体量子ドットの超低温輸送現象の研究(Badrutdinov, Huang, 秋元, 大野, 池上, 石本, 河野)

    ミリケルビン以下の超低温領域において、量子ドットの輸送特性を測定するた めに核断熱消磁冷凍装置の整備を行っている。この温度領域において期待され る核スピンと電子との相互作用に起因する効果についての考察を行った。

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